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身体を調える

 母が抗がん剤の治療中(どうもこの治療が母の身体には合わなかったようです。)、倒れて歩けなくなってしまってから、半年近く経ちました。月に一度は離れて暮らす私も、病院の検査の付き添いに出かけています。一時は皮膚がガサガサで、筋肉も硬くなり、血液検査の時に看護士さんが注射の針をうつ場所を探すのも大変なくらいでした。最近では肌の状態も少しずつ良くなり、先日は自分一人で立って車いすに乗れたのです。
一緒に暮らす妹と、時々来てくれる弟のおかげもあってのことで本当に感謝するばかり。みんなに迷惑をかけてまで生きていたくないと再三言っていた母でしたが、みんなにとっては助けずにいられない。特に親不孝だった私には親孝行のチャンスなのです。
診察が終わって、病院を出た所にあるレストランで母と2人で食事をしました。以前は食べた物も胃が受け付けないこともありました。けれどこの日は頼んだオムライスをおいしそうに食べていたのです。糖尿もあったので、食事制限について聞くと、もうインシュリンを打たなくても良くなったし、歩けるようになるにはもう少し動物性のものも食べていいから、体力をつけた方がよいと言われたそうです。
自力で立って歩いてそしてテーブルを囲んで家族とあるいは友人とご飯を食べる。
そんな行為がなんて特別で素敵なことなんだろうと思えてくる。私が子供の頃、母の作ったオムライスが大好きだったことを話すと、もう少し歩けるようになったら料理を作りたい。母はそんな思いを話してくれました。
このレストランでは季節の地物野菜を使って、きれいな彩りの料理が出されます。私が頼んだ季節の野菜のパスタのオリーブオイルとトマトを使ったソースが、お皿に残って金色とピンクのきれいな色に見えました。ガラス張りの窓からゆれる大きな木が見えました。身体を調える。身体を整えるは整体だけど、この調えるは、全体のハーモニーですね。病気であっても完全に治るというそういう状態とは違っても、いつも繊細にゆれ動いてこの瞬間を一緒に生きている。人は光のような存在だ。そんなふうに考えたい。

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